HINAMI

HINAMI1

作品概要

「HINAMI」は、同一時刻(8月15日午後5時25分)に亡くなる運命にある8人の物語。ある日突然、彼らのもとに届く一通のメッセージ。「あなたは死ぬ。その前にたったひとつだけメッセージを伝えることができる。時間は5分。あなたならー」。彼らは、誰に、何を、どうやって伝えるのか? それは、伝わるのか?

1.石野編
決して悪いヤツではないけれど、どこか空気が読めず、うとまれるタイプ。とりわけ妻子には全く相手にされず、状況の打破のためについついマニュアルに助けを求める悲劇的な人物。
2.ミナ編
薄暗い部屋から一歩も出ない。母親が食事を持ってきてもドアすら開けない。友達はぬいぐるみとパソコン。外界との唯一の接点は、分厚いカーテンのすき間から窓の外を眺め、夢想すること。
3.サツキ編
「普通」に気の強い高飛車女と思いきや、ナンパしてきた男すら演技の練習台にするほど筋金入りの「女優」。体型維持のためトレーニングを日々欠かさず、口からは映画の名文句がすらすらと流れ出す。
4.竹内編
メロドラマチックな映画とフライドポテトをこよなく愛する、ちょっとズレた中年男。かつての兄貴分であるヤクザの組長およびその妻と過去に何かあったらしく、それをいまだに引きずるウェットな人物。
5.春子&喜三郎編
寡黙な夫、喜三郎。趣味は庭仕事。息抜きは縁側でタバコ。妻、春子とは結婚50年。彼女は、家の中に置いてある古びたレコードプレイヤーをときどき切なげに眺めるばかりで、一言も口をきかない。
6.ヤンヤン編
故郷中国を離れ、「兄貴」を頼って日本にやってきた。「お前も早く何かを守れるようになれ」と彼が残していった鉢植えの白い花だけが、唯一の「友達」である孤独な青年。
7.ゆうこ編
やさしいがやや鈍感な夫と二人暮し。臨月。我が子の誕生を待ち望む夫と対照的に、鬱々と無言の日々を送っている。薬をボトルにため込んだり、グラスを叩き割ったりする奇行すらも。