HINAMI7

√2

作品予告編

作品概要

あらすじ

里中蘭(さとなからん)は20代半ばの女性。静かで神秘的な、近寄りがたい空気を身にまとっている。友人が1人もおらず、どんな仕事をしているかすらよく分からない、謎の人物である。
彼女には5歳離れた弟・葉(よう)がいる。姉とは対照的な人懐っこい性格で、アルバイト先である新聞配達所の経営者にかわいがられ、近所の子供たちにも慕われている。
彼らは10年ほど前に両親を相次いで亡くしている。父親の幼なじみである蟻村(ありむら)という中年の議員秘書が親代わりになっているが、彼はある証拠を種にして蘭に非合法な仕事を強要していた。蟻村には、蘭たち姉弟を骨の髄までしゃぶり尽くすだけの「理由」があった。
そしてもう一人、彼らの近辺に出没する者がいる。清田(きよた)という30代の男性である。彼は10年もの間ずっと、蘭たちを見守り続けている。彼にもまた、そうするだけの「理由」があった。
このところ、葉は悪夢を見続けている。それは、人が殺される夢。しかも、あたかも自分が人殺しであるかのように、一部始終を殺人者の目から見るのである。それにもまた、「理由」があった…。

タイトルについて

当初のタイトルは「目撃」であったが、脚本の改訂を繰り返した結果、「見てはならないものを見てしまった」というサスペンス的要素ではなく、「自分のアイデンティティを決定づける二者関係」というドラマ的要素がこの作品の軸となった。
蟻村は蘭たちの父親によって、清田は蘭たちによって、そして蘭と葉は相互に、それぞれのアイデンティティを決定づけられる。すなわち、ひとりひとりのキャラクターは単体では自らの存在を主張し得ず、軸となる他者との関係によって彼らの人格と人生が成り立っている。比喩的に言えば、ひとりひとりは単体ですっきりと存在できる「1」ではなく、他者とかけ合わせられることによって初めて「2」になる「√2」のような、頼りない存在だということである。
「人はひとりでは生きていけない」と言われる。本作品ふうに言えば、全ての人間は√2である。ならば、他者とどのような掛け算をするかを選ぶことが、すなわち生きることであろう。
このような思いと考えから、タイトルを「√2」に変更した。